第3回 これからの乾癬治療におけるビンゼレックス®の役割と可能性

第3回 これからの乾癬治療におけるビンゼレックス®の役割と可能性第3回 これからの乾癬治療におけるビンゼレックス®の役割と可能性

多田

先生は冒頭でビンゼレックス®の有効性について言及されましたが、わが国では2022年4月からビンゼレックス®を使用できるようになりました。ビンゼレックス®はヒト化抗ヒトIL-17A/IL-17Fモノクローナル抗体製剤であり、乾癬の病態に関与するTh17細胞や様々な自然免疫細胞から産生されるIL-17A、IL-17F及びIL-17A/Fに対して選択的に結合することで炎症反応を抑制します(図1)。

図1

このようにビンゼレックス®はIL-17AだけでなくIL-17Fも阻害するため、IL-17Aのみを阻害するよりも強い抗炎症作用が期待でき、非常に興味深い乾癬治療薬と考えます。臨床試験の成績をみると、IL-17Aに加えてIL-17Fも乾癬の病態に深く関与しているのではないかと思うのですが、Rubel先生はビンゼレックス®の作用機序に対してどのような印象を持たれているのか教えてください。

Rubel

同感です。ビンゼレックス®のIL-17AとIL-17Fを共に阻害するデュアル作用が、臨床での高いPASI90およびPASI100の反応率として表れていると思います。ただし、IL-17AとIL-17Fの阻害によりカンジダに対する免疫防御機能が低下する可能性があります。特に口腔カンジダ症がみられることがありますので、診察時に口腔内や嚥下時の症状を確認することが重要です。

多田

ビンゼレックス®の効果に関してですが、既存治療で効果不十分な中等度から重度の尋常性乾癬患者を対象とした、海外第Ⅲ相二重盲検比較試験BE READY試験(図2)1)及びBE SURE試験2)における複合主要評価項目(検証項目)である16週時のPASI90反応率はそれぞれ90.8%、86.2%、副次評価項目の16週時のPASI100反応率はそれぞれ68.2%、60.8%という有効性が示されています。

ビンゼレックス®を実臨床において使用する際に、期待される活用方法についてお聞かせください。

図2

Rubel

はい、中等度から重度の尋常性乾癬患者で実施されたBE READY試験において、副次評価項目である4週時のPASI75反応率は75.9%で(図2)、その他の第Ⅲ相臨床試験でも同様の結果がみられました。ビンゼレックス®には即効性が期待できると考えています。先にも言いましたが、これからの乾癬治療薬に求める特性として即効性は重要です。私の患者さんで、親戚の結婚式があるのに、今の状態ではドレスを着ることができないと訴えてきたケースがありました。即効性のある治療薬は、皮疹を早く綺麗にしたいと希望する多くの患者さんへの活用が期待できると考えます。

多田

ビンゼレックス®は新しい乾癬治療薬であるため、今後の実地診療での使用実績が集積していくことで、効果的な活用方法ならびにより高い治療アウトカムの達成をゴールとする道が開けていくものと思います。

Rubel先生、貴重な情報やご意見をご提示いただき、ありがとうございました。

多田、Rubel

References

  • 1)Gordon KB. et al.:Lancet. 397:475-486, 2021.
  • 2)Warren RB. et al.:N Engl J Med. 385:130-141, 2021.

ビンゼレックス®製品基本情報

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