MG0007試験:試験概要

本剤は、一部承認外の用法及び用量による臨床成績で評価され、承認されました。

そのため、承認されている「用法及び用量」と異なるデータが含まれます。

国際共同第Ⅲ相長期継続投与試験(MG0007試験)

社内資料
国際共同第Ⅲ相長期継続投与試験 MG0007試験(承認時評価資料)

試験概要

全身型重症筋無力症(gMG)を有する患者を対象として、リスティーゴの6週間の治療サイクルを追加したときの安全性、忍容性及び有効性について評価する。

MG0003試験及びMG0004試験に参加したgMG成人患者165例(日本人患者12例を含む)

最大の解析対象集団(Full Analysis Set:FAS):165例(MG0003試験から105例、MG0004試験から60例)

安全性解析対象集団(Safety Set:SS):157例(2022年7月8日のデータカットオフ時点でMG0007試験の初回サイクル投与を受けた患者)

  • MG0003試験を完了
  • MG0003試験の観察期間中にレスキュー治療を要した[ただし、MG0003試験の観察期間にIVIg又はPLEXを受けることを選択した患者を除く]
  • MG0004試験で6回以上の来院を完了
  • 口腔咽頭筋もしくは呼吸筋に影響を及ぼす重度の筋力低下(MG-ADLスケールのGrade3)又は重症筋無力症クリーゼもしくは切迫クリーゼを有する
  • 好中球絶対数が1,500cells/mm3未満

第Ⅲ相、多施設共同(カナダ、チェコ、デンマーク、フランス、ジョージア、ドイツ、イタリア、日本、ポーランド、ロシア、セルビア、スペイン、台湾及び米国)、無作為化、非盲検、継続投与試験

本試験では、6週間の治療期間と16週間の観察期間を1治療サイクルとした。

MG0003試験からの移行に適格と判断された患者をリスティーゴ7mg/kg群又はリスティーゴ10mg/kg群に無作為に割り付け、6週間の治療期間にリスティーゴを1週間ごとに6回、腹部に皮下投与した後、16週間の観察期間に移行した。リスティーゴ7mg/kg群、リスティーゴ10mg/kg群におけるリスティーゴの投与量は下表に従い、体重カテゴリ別の固定用量(7mg/kg相当又は10mg/kg相当)とした。規定来院を6回以上実施し、治療の早期終了来院を実施したMG0004試験からの適格患者は、本試験の観察期間に直接移行できることとした。これらの患者では、gMG症状の悪化に基づく本試験のリスティーゴの初回投与を、MG0004試験の最終投与量で継続することとした。

体重 リスティーゴの投与量(mg)
リスティーゴ7mg/kg群 リスティーゴ10mg/kg群
≧35kg~<50kg 280 420
≧50kg~<70kg 420 560
≧70kg~<100kg 560 840
≧100kg 840 1,120

gMG症状が悪化し、治験責任医師が必要と判断した場合、追加の治療サイクル(治療期間及び観察期間)を実施した。リスティーゴ7mg/kg又はリスティーゴ10mg/kgの用量調節は治験責任医師の判断で各治療サイクルの開始時に実施できることとした。先行治療サイクルの最終投与から次の治療サイクル開始まで4週間以上あけることとし、治療サイクルを4週間よりも早く開始する必要がある場合は、先行治療サイクルのIgG濃度を考慮することとした(総IgG濃度が2g/L以上となるまで、新たな治療サイクルの開始は不可とした)。

国際共同第Ⅲ相長期継続投与試験(MG0007試験)の投与方法
主要評価項目
  • 治験薬投与後に発現した有害事象(TEAE)
  • 治験薬の投与中止に至ったTEAE
その他の安全性評価項目
  • 重篤なTEAE など
有効性の副次評価項目
  • 最初の4回の各治療サイクルにおける、以下の項目のベースライン(1日目)から43日目までの変化量:

    1つの治療サイクル内でのMG-ADL総スコア/1つの治療サイクル内でのQMG総スコア/1つの治療サイクル内でのMGC総スコア/1つの治療サイクル内でのMG症状患者報告アウトカム(PRO)による「筋力低下疲労」スコア/1つの治療サイクル内でのMG症状PROによる「身体疲労」スコア/1つの治療サイクル内でのMG症状PROによる「球筋力低下」スコア/1つの治療サイクル内でのMG-ADLレスポンダー(ベースラインから2.0点以上の減少)の割合/1つの治療サイクル内でのMG-ADL奏効(ベースラインから2.0点以上の減少)までの期間

  • 連続治療サイクル間の期間(無治療間隔)
その他の有効性評価項目
  • 各6週間の治療期間及び観察期間(該当する場合)の各評価時点における、以下の項目のベースラインからの減少:

    1つの治療サイクル内でのMG-ADLレスポンダー(2.0点以上)/1つの治療サイクル内でのQMGレスポンダーの割合(3.0点以上)/1つの治療サイクル内でのMGCレスポンダーの割合(3.0点以上)/1つの治療サイクル内でのMG-ADL奏効(2.0点以上)までの期間/治療期間又は観察期間までのいずれかの時点で達成されたMinimal symptom expression(MSE、MG-ADL総スコア0又は1)

  • 各6週間の治療期間及び観察期間(該当する場合)の各評価時点における、以下の項目のベースラインからの変化量:

    1つの治療サイクル内でのMG-ADL総スコア/1つの治療サイクル内でのQMG総スコア/1つの治療サイクル内でのMGC総スコア/1つの治療サイクル内でのMG症状PROによる「筋力低下疲労」スコア/1つの治療サイクル内でのMG症状PROによる「身体疲労」スコア/1つの治療サイクル内でのMG症状PROによる「球筋力低下」スコア

  • 各6週間の治療期間及び観察期間(該当する場合)の各評価時点における、以下の項目のベースラインから43日目までの変化量:

    1つの治療サイクル内でのEQ-5D-5L/1つの治療サイクル内でのMG-QOL15r

その他の評価項目
  • レスキュー治療の実施

有効性、安全性の解析は、本試験又はMG0004試験に登録され、無作為化された患者のうち、治験薬の投与を1回以上受けたすべての患者(SS)を対象として実施した。

有効性の評価項目について、統計学的検定は実施しなかった。

SSを対象とした直近の投与量別の安全性解析では、患者は有害事象(AE)発現前に受けた直近の用量レベルの投与群として集計した(例:患者のAE発現前の直近の投与量が10mg/kgの場合、本患者の本AEは10mg/kg群で集計)。SSを対象としたサイクル別の安全性解析では、患者は各サイクル内で患者が受けた最高用量に基づいて集計した。患者が1つのサイクル内で投与量を変更した場合、そのサイクルでは最高用量の10mg/kg群で集計した。また、サイクル1の最高用量が10mg/kgで、サイクル2の最高用量が7mg/kgの場合、本患者はそれぞれ10mg/kg群と7mg/kg群で集計した。集計にはMedDRA ver. 24.0を用いた。

継続した有効性の副次評価項目について、年齢、性別、地域、MG特異的自己抗体(MG0003試験のベースライン及び過去の記録に基づく抗AChR抗体又は抗MuSK抗体)別のサブグループ解析を実施した。

注)
本試験は現在継続中であり、当Webサイトでは、2022年7月8日の臨床データカットオフ日に基づく中間解析報告書から中間解析結果を紹介する(承認時)。
人口統計学的特性(SS)
   
リスティーゴ
7mg/kg群
(n=79)
リスティーゴ
10mg/kg群
(n=78)
リスティーゴ
全体
(n=157)
年齢(歳)※1
年齢(歳)※1 平均値(SD) 52.7(15.7) 52.0(17.0) 52.4(16.3)
中央値
(最小値, 最大値)
55.0(20, 83) 51.0(18, 85) 54.0(18, 85)
年齢区分※2、n(%)
年齢区分※2n(%) 18~<65歳 60(75.9) 58(74.4) 118(75.2)
65~<85歳 19(24.1) 19(24.4) 38(24.2)
≧85歳 0 1(1.3) 1(0.6)
年齢区分※3、n(%)
年齢区分※3n(%) ≦18歳 0 1(1.3) 1(0.6)
19~<65歳 60(75.9) 57(73.1) 117(74.5)
≧65歳 19(24.1) 20(25.6) 39(24.8)
性別、n(%)
性別、n(%) 男性 35(44.3) 29(37.2) 64(40.8)
女性 44(55.7) 49(62.8) 93(59.2)
体重(kg)
体重(kg) 平均値(SD) 82.40(22.30) 81.07(24.20) 81.74(23.20)
中央値
(最小値, 最大値)
81.90(35.7, 153.1) 77.95(41.4, 156.5) 79.40(35.7, 156.5)
人種、n(%)
人種、n(%) アジア人 8(10.1) 8(10.3) 16(10.2)
黒人 1(1.3) 0 1(0.6)
ハワイ先住民又は
他の太平洋諸島の島民
0 1(1.3) 1(0.6)
白人 53(67.1) 55(70.5) 108(68.8)
不明※4 17(21.5) 14(17.9) 31(19.7)
地域、n(%)
地域、n(%) 北米 26(32.9) 18(23.1) 44(28.0)
欧州 45(57.0) 53(67.9) 98(62.4)
アジア(日本を除く) 2(2.5) 1(1.3) 3(1.9)
日本 6(7.6) 6(7.7) 12(7.6)
疾患の悪化※5、n(%)
疾患の悪化※5、n(%) あり 32(40.5) 33(42.3) 65(41.4)
なし 16(20.3) 24(30.8) 40(25.5)
MG0003試験の観察期間中に追加治療が必要になりMG0007試験に登録、n(%)
MG0003試験の観察期間中に追加治療が
必要になりMG0007試験に登録、n(%)
はい 14(17.7) 16(20.5) 30(19.1)
いいえ 65(82.3) 62(79.5) 127(80.9)
※1
MG0003試験へのエントリー時の年齢
※2
EudraCTの年齢区分
※3
Clinicaltrials.govの年齢区分
※4
フランス及びカナダでは人種及び民族の収集が禁止された。
※5
疾患の悪化は、治験責任医師の判断に基づき、2回の連続した来院の間にgMGの症状が悪化すること(例:MG-ADL総スコアの2点の増加、QMG総スコアの3点の増加)と定義された。
ベースラインの疾患特性(RS)
   
リスティーゴ
7mg/kg群
(n=79)
リスティーゴ
10mg/kg群
(n=78)
リスティーゴ
全体
(n=157)
MG0003試験のベースラインにおける胸腺摘出の手術歴、n(%)
MG0003試験のベースラインにおける
胸腺摘出の手術歴、n(%)
あり 28(35.4) 37(47.4) 65(41.4)
なし 51(64.6) 41(52.6) 92(58.6)
MG-ADL総スコア
MG-ADL総スコア 平均値(SD) 8.4(4.2) 8.0(4.0) 8.2(4.1)
中央値
(最小値, 最大値)
8.0(0, 17) 8.0(0, 18) 8.0(0, 18)
MG-ADL group、n(%)
MG-ADL group、n(%) <5 15(19.0) 14(17.9) 29(18.5)
≧5 64(81.0) 62(79.5) 126(80.3)
MGC総スコア
MGC総スコア 平均値(SD) 15.4(7.6) 14.5(7.4) 15.0(7.5)
中央値
(最小値, 最大値)
15.0(2, 34) 13.0(0, 36) 14.5(0, 36)
QMG総スコア
QMG総スコア 平均値(SD) 14.4(5.1) 15.3(4.7) 14.9(4.9)
中央値
(最小値, 最大値)
14.0(3, 24) 15.0(2, 25) 14.0(2, 25)
MG0003試験のベースラインにおける罹病期間(年)
MG0003試験のベースラインにおける
罹病期間(年)
平均値(SD) 9.4(8.5) 7.4(7.9) 8.4(8.2)
中央値(最小値, 最大値) 6.8(0, 49) 4.8(0, 36) 5.7(0, 49)
初回MG診断時の年齢(歳)
初回MG診断時の年齢(歳) 平均値(SD) 43.8(17.2) 44.8(18.3) 44.3(17.7)
中央値
(最小値, 最大値)
46.0(12, 76) 44.5(12, 79) 45.0(12, 79)
MG0003試験のベースラインにおける自己抗体、n(%)
MG0003試験のベースラインにおける
自己抗体、n(%)
AChR+ 68(86.1) 71(91.0) 139(88.5)
MuSK+ 8(10.1) 2(2.6) 10(6.4)
MG0007試験のベースラインにおける自己抗体、n(%)
MG0007試験のベースラインにおける
自己抗体、n(%)
AChR+ 62(78.5) 58(74.4) 120(76.4)
MuSK+ 7(8.9) 2(2.6) 9(5.7)
総IgG濃度(g/L)
総IgG濃度(g/L) 平均値(SD) 8.8(2.8) 8.2(2.5) 8.5(2.6)
中央値
(最小値, 最大値)
8.7(2, 17) 7.9(4, 17) 8.5(2, 17)

本剤の用法及び用量、特定の背景を有する患者に関する注意は以下の通り(電子添文から抜粋)

6.

用法及び用量

通常、成人にはロザノリキシズマブ(遺伝子組換え)として下表に示す用量を1週間間隔で6回皮下注射する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。

体重 投与量
50kg未満 280mg
50kg以上70kg未満 420mg
70kg以上100kg未満 560mg
100kg以上 840mg
9.

特定の背景を有する患者に関する注意(抜粋)

9.5

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。IgG抗体は胎盤通過性があることが知られており、本剤は妊娠カニクイザルにおいて、胎児に移行することが確認されたが、新生児に有害な影響は認められなかった。また、本剤の投与を受けた患者からの出生児においては、母体から移行するIgGが低下し、感染のリスクが高まる可能性がある。

9.6

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト乳汁中への移行は不明であるが、ヒト免疫グロブリンは乳汁中に移行することが知られている。