FAQ6
妊娠希望のあるRA患者さんに対して、
妊娠関連自己抗体検査は必要か?
Answer
- 妊娠を希望するRA患者さんに対して、必要に応じて抗甲状腺抗体、抗SS-A抗体、抗リン脂質抗体などの妊娠関連自己抗体検査を検討する。
妊娠希望のあるRA患者さんの抗体検査について(表)
RAではリウマトイド因子(rheumatoid factor: RF)や抗CCP抗体などが診断や予後予測に重要であるが、WoCBA-RA患者さんの場合は、妊娠・出産に影響を及ぼす抗甲状腺抗体などの各種抗体検査を行うことも検討する1-10)。
- 01
- 甲状腺機能検査、抗甲状腺抗体
-
RA患者さんでは、甲状腺機能低下の発症頻度が健康対照に比べて上昇すること1,2)、抗甲状腺抗体が上昇すること3)などが示されている。そのため、RA患者さんでは、不妊症が疑われる場合は、甲状腺機能低下および抗甲状腺抗体(抗Tg抗体、抗TPO抗体)の確認なども検討する。
- 02
- 抗SS-A抗体
-
RA患者さんに対する抗SS-A抗体については、米国リウマチ学会(ACR)ガイドラインでは、リスクを把握したうえでカウンセリングを行う目的で推奨されている4)。一方、抗SS-A抗体の保有率は 、RA患者さんで数%~20%とされており5-7)、RA患者さんで陽性率が上昇する可能性が示唆されているものの8)、明確なエビデンスは示されていない。また、抗SS-A抗体保有者の胎児のうち先天性心ブロック(CHB)の発症率は1%程度であること、早期発見・発症によっても転帰が改善する可能性が低いことなどから、スクリーニングによるベネフィットについては議論がある9)。そのため、RA患者さんにおける抗SS-A抗体のスクリーニングについては、基本的に実施が推奨されるものの、陽性の場合、患者さんに対して懸念を強調せず、一定のリスクがあるという点をカウンセリングで伝える。
- 03
- 抗リン脂質抗体(aPL)
-
日本において、aPLを保有している患者さんは極めて少なく、また、基準値も報告により異なるため、すべてのWoCBA-RA患者さんを対象としたスクリーニングを支持する根拠は不十分である10)。そのため、流産・死産歴がある場合や、血小板減少や活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長がある場合など、何らかの抗リン脂質抗体症候群の合併を疑わせるような場合に測定を検討する。
- 表
- WoCBA-RA患者さんの抗体検査
項目 | アセスメント内容 |
---|---|
抗甲状腺抗体 | アセスメント内容:抗Tg抗体、抗TPO抗体 |
抗SS-A抗体 | アセスメント内容:妊娠前あるいは妊娠初期での検査(ACRガイドライン)。 陽性の際には早期に周産期センターなどに紹介することも検討する。 |
抗リン脂質抗体(aPL) | アセスメント内容:抗リン脂質抗体症候群(APS)の合併を疑わせる要因がある場合 (流産・死産歴、血小板減少や活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長がある場合など) |
Tanaka Y et al: Expert Rev Clin Immunol 2023; 19: 655-669より改変
reference
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