シムジアとは

シムジアとは

近年、関節リウマチ(以下、RA)の薬物治療は、抗リウマチ薬を早期から積極的に使う治療が主体となってお1)特にTNFα阻害薬の登場は、抗リウマチ薬の新分類として、RAに重要な治療法を加えました。TNFαはRAの症状の悪化、並びに進展に対する中心的な役割を果たしており、TNFα阻害薬による疾患の徴候及び症状の改善、患者QOLの向上、さらには関節破壊の進行を遅らせる効果が報告されていま2-5)

シムジア皮下注200mg(一般名:セルトリズマブ ペゴル(遺伝子組換え))は、ヒト化抗ヒトTNFαモノクローナル抗体の抗原結合フラグメント(Fab’)にポリエチレングリコール(PEG)※1を結合させた化合物で、英国セルテック社(現ユーシービー社)が創製したTNFα阻害薬です。Fc領※2を持たないことから、TNF産生細胞に対する細胞傷害性を示さないとともに、PEG化による半減期の延長が期待されています。
海外においては、1998年よりRAに対する臨床試験が開始され、2009年5月に米国で初めて承認された後、2019年8月時点、世界60ヵ国以上で承認又は販売されています。
日本では2008年より臨床試験を開始しており、本剤の2週間隔又は4週間隔皮下投与で、RAに対する症状及び徴候の軽減、身体機能改善、関節破壊進行抑制効果並びに安全性の確認を行いました。また、日本人及び外国人RA患者での本剤の薬物動態並びに用量反応性における類似性が明らかになったことから、ブリッジングが成立すると判断し、海外における臨床成績と併せて申請を行い、「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」を効能又は効果として2012年12月にシリンジで承認を取得しました。

また、近年のRA治療は、診断が確定したら速やかに抗リウマチ薬を用いた治療を行い、臨床的寛解を目指すことが世界的に標準となりつつあり、生物学的製剤の早期導入の有効性が期待されます。
そこで、シムジアを治療開始時から投与可能とする新規効能の取得を目指すために、発症後早期かつ予後不良因子を有するRA患者を対象とした試験(C-OPERA試験)を実施し、関節破壊の進展抑制効果などの有効性及び安全性の確認を行いました。その結果より、効能又は効果から「既存治療で効果不十分な」の記載を削除し、「関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」として、2015年5月に承認を取得しました。

さらに、多くのプロトタイプを用いたRA患者へのテストを通して、注射時の利便性と機能性の向上を目的に新たなデバイスを開発し、オートクリックが製品化されました。2016年9月に欧州連合(EU)において初めて承認された後、カナダやオーストラリアでも承認されました。日本においては、2018年8月にオートクリックの承認を取得しました。なお、2019年12月に「乾※3に対する効能又は効果を追加承認取得しました。

※1:
ポリエチレングリコール(PEG)は、高分子重合体であり、作用の持続や副作用の軽減を目的として医薬品の修飾に用いられている。
※2:
Fc領域は、Y字の形をした抗体の軸部分を示し、補体やマスト細胞などとの抗原抗体反応に関与している。一方、Y字の上半分をFab領域と呼び、Fab領域の先端部分で抗原と結合する。
※3:
既存治療で効果不十分な下記疾患
尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症
1
竹内 勤.: 日薬理誌. 129: 182-185, 2007
2
Elliott MJ. et al.: Lancet. 344: 1105-1110, 1994
3
Maini RN. et al.: Annu Rev Med. 51: 207-229, 2000
4
Maini RN. et al.: Lancet. 354: 1932-1939, 1999
5
Moreland LW. et al.: Ann Intern Med. 130: 478-486, 1999

シムジアの効能又は効果、用法及び用量

本剤の効能又は効果、用法及び用量は以下の通り(電子添文から抜粋)。

4.

効能又は効果(抜粋)

〇関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)

5.

効能又は効果に関連する注意(抜粋)

〈関節リウマチ〉

5.1
本剤の適用は、原則として既存治療で効果不十分な関節リウマチ患者に限定すること。ただし、関節の構造的損傷の進展リスクが高いと推測される患者に対しては、抗リウマチ薬による治療歴がない場合でも使用できるが、最新のガイドライン等を参照した上で、患者の状態を評価し、本剤の使用の必要性を慎重に判断すること。
6.

用法及び用量(抜粋)

〈関節リウマチ〉

通常、成人にはセルトリズマブ ペゴル(遺伝子組換え)として、1回400mgを初回、2週後、4週後に皮下注射し、以後1回200mgを2週間の間隔で皮下注射する。
なお、症状安定後には、1回400mgを4週間の間隔で皮下注射できる。

7.

用法及び用量に関連する注意(抜粋)

〈効能共通〉

7.1
本剤と他の生物製剤の併用について安全性及び有効性は確立していないので併用を避けること。

〈関節リウマチ〉

7.2
本剤による治療反応は、通常投与開始から12週以内に得られる。12週以内に治療反応が得られない場合は現在の治療計画の継続を慎重に再考すること。
7.3
関節の構造的損傷の進展リスクが高いと推測される、抗リウマチ薬による治療歴がない患者に対して本剤を使用する場合には、メトトレキサートを併用することが望ましい。
7.4
本剤とアバタセプト(遺伝子組換え)の併用は行わないこと。海外で実施したプラセボを対照とした臨床試験において、抗TNF製剤とアバタセプト(遺伝子組換え)の併用療法を受けた患者では併用による効果の増強は示されておらず、感染症及び重篤な感染症の発現率が抗TNF製剤のみによる治療を受けた患者での発現率と比べて高かった。
注)
関節リウマチに関する項目のみを記載しています。
JP-CZ-2500072