製品情報|シムジアⓇ

対象患者・禁忌など

投与対象となる患者

4.効能又は効果(抜粋)
〇既存治療で効果不十分な下記疾患
尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症
5.効能又は効果に関連する注意(抜粋)
〈尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症〉
5.2 以下のいずれかを満たす患者に投与すること。
  • 光線療法を含む既存の全身療法(生物製剤を除く)で十分な効果が得られず、皮疹が体表面積の10%以上に及ぶ患者。
  • 難治性の皮疹、関節症状又は膿疱を有する患者。
6.用法及び用量(抜粋)
〈尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症〉
通常、成人にはセルトリズマブ ペゴル(遺伝子組換え)として、 1 回400mgを 2 週間の間隔で皮下注射する。症状安定後には、 1 回200mgを 2 週間の間隔、又は 1 回400mgを 4 週間の間隔で皮下注射できる。
7.用法及び用量に関連する注意(抜粋)
〈効能共通〉
7.1 本剤と他の生物製剤の併用について安全性及び有効性は確立していないので併用を避けること。
〈尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症〉
7.5 本剤による治療反応は、通常投与開始から16週以内に得られる。16週以内に治療反応が得られない場合は本剤の治療計画の継続を慎重に再考すること。

投与禁忌

2 .禁忌(次の患者には投与しないこと)
2.1 重篤な感染症(敗血症等)の患者[症状を悪化させるおそれがある。][1.1、1.2.1、11.1.1参照]
2.2 活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある。][1.1、1.2.2、8.3、9.1.2、11.1.2参照]
2.3 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.4 脱髄疾患(多発性硬化症等)及びその既往歴のある患者[症状の再燃及び悪化のおそれがある。][1.1、1.3、9.1.3、11.1.4参照]
2.5 うっ血性心不全の患者[15.1.2参照]
  • 2.1 敗血症等の症状を悪化させるおそれがあるため、本剤を投与しないでください。
  • 2.2 活動性結核の症状を悪化させるおそれがあるため、本剤を投与しないでください。
  • 2.3 一般的な留意事項として記載しました。本剤の成分に対して過敏症のある患者においては、本剤の投与によりアレルギー反応及びアナフィラキシー反応を含む潜在的なリスクをもたらす可能性があるため、本剤を投与しないでください。
  • 2.4 脱髄疾患の症状の再燃や悪化のおそれがあるため、本剤を投与しないでください。
  • 2.5 本剤を含む抗TNF製剤の投与により、うっ血性心不全の悪化が認められています。現時点では本剤でのうっ血性心不全患者を対象とした臨床試験は行われておりませんが、類薬の記載も考慮し、うっ血性心不全患者は禁忌としました。

特定の背景を有する患者

9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 感染症(重篤な感染症を除く)の患者又は感染症が疑われる患者[1.1、8.1、8.5参照]
9.1.2 結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部X線上結核治癒所見のある患者)又は結核感染が疑われる患者
  1. (1) 結核の既感染者では、結核を活動化させ、症状が顕在化するおそれがある。[1.1、2.2、8.3、11.1.2参照]
  2. (2) 結核の既往歴を有する場合及び結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談すること。以下のいずれかの患者には、原則として本剤の開始前に適切な抗結核薬を投与すること。[1.1、1.2.2参照]
    • 胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者
    • 結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者
    • インターフェロン-γ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、既感染が強く疑われる患者
    • 結核患者との濃厚接触歴を有する患者
9.1.3 脱髄疾患が疑われる徴候を有する患者及び家族歴のある患者
  1. (1) 脱髄疾患が疑われる徴候を有する患者については、神経学的評価や画像診断等の検査を行い、慎重に危険性と有益性を評価した上で本剤適用の妥当性を検討し、投与後は十分に観察を行うこと。脱髄疾患発現のおそれがある。[1.1、1.3、2.4、11.1.4参照]
  2. (2) 脱髄疾患の家族歴のある患者は、適宜画像診断等の検査を実施し、十分注意すること。脱髄疾患発現のおそれがある。
9.1.4 重篤な血液疾患(汎血球減少、再生不良性貧血等)の患者又はその既往歴のある患者
血液疾患が悪化するおそれがある。[11.1.5参照]
9.1.5 間質性肺炎の既往歴のある患者
定期的に問診を行うなど、注意すること。間質性肺炎が増悪又は再発することがある。[11.1.7参照]
9.1.6 B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)
肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。本剤を含む抗TNF製剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者において、B型肝炎ウイルスの再活性化が認められている。報告された症例の多くは、他の免疫抑制作用をもつ薬剤を併用投与した症例である。[8.4参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠中に本剤を投与した患者において、臍帯血及び出生児血中への移行が認められた1)。[16.3.1参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト乳汁への移行が報告されている。[16.3.2参照]
9.7 小児等
小児等を対象とした国内臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
感染症等の副作用の発現に留意し、十分な観察を行うこと。一般に生理機能(免疫機能等)が低下している。
  • 9.1.1 本剤がTNFを抑制することにより、宿主の防御機構に影響を与える可能性があることから、既存の感染症を増悪、顕在化させるおそれがあります。これら感染症の患者(疑い例を含む)に対しては十分な観察を行いながら慎重に投与を行ってください。
    なお、重篤な感染症の患者への投与は禁忌となっています。
  • 9.1.2 本剤がTNFを抑制することにより、宿主の防御機構に影響を与える可能性があること、臨床試験及び海外市販後報告において感染症の発現が報告されていることから設定しました。また、海外臨床試験及び海外市販後報告において結核の発現が報告されているので、既感染者に対する注意喚起を設定しました。
    結核の既感染者に対して本剤を投与する場合には、結核を再燃させるおそれがあるため、定期的な胸部X線検査等を実施し、結核の発症に注意しながら慎重に投与を行ってください。異常が認められた場合は本剤を中止し適切な処置を行ってください。
    なお、活動性結核の患者への投与は禁忌となっています。
  • 9.1.3 本剤を含む抗TNF製剤の海外の臨床試験及び海外市販後報告において、脱髄疾患(多発性硬化症を含む)の臨床症状・画像診断上の発現もしくは悪化が報告されています。そのため、脱髄疾患の疑いのある患者や家族歴のある患者に対しては、適宜画像診断等の検査を実施し、リスクベネフィットの評価の上、慎重に投与し、脱髄疾患に対して十分な観察を継続してください。
  • 9.1.4 本剤を含む抗TNF製剤で、汎血球減少、再生不良性貧血等を含む重篤な血液疾患が報告されています。重篤な血液疾患の患者やその既往歴のある患者に対しては、慎重に投与を行ってください。
  • 9.1.5 本剤を含む抗TNF製剤を既存の間質性肺炎患者に投与した場合、間質性肺炎が増悪又は再発するおそれがあるため設定しました。間質性肺炎の既往歴のある患者に対しては、定期的に問診を行うなど、十分な観察を行いながら慎重に投与してください。
  • 9.1.6 本剤を含む抗TNF製剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)において、B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されています。本剤投与前に感染の有無の検査を行ってください。
    また、B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者に本剤を投与する場合は、定期的に肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行い、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状に注意してください。
  • 9.5 本剤はPEG化抗マウスTNFαモノクローナル抗体のFab'フラグメントを用いたラット生殖発生毒性試験のトキシコキネティクス試験の結果から、胎盤移行は低いことが示唆されましたが、ヒトでの妊娠中の安全性を確認する試験は実施していないため、設定しました。 なお、関節リウマチ又はクローン病等の患者を対象とした臨床試験で妊婦に本剤を投与した際、本剤の濃度は母体の血中で4.96〜49.4μg/mL、臍帯血で定量下限(0.032μg/mL)未満~0.048μg/mL、新生児の出生時の血漿中濃度は定量下限未満及び1例で0.0422μg/mL(新生児/母親比:0.09%)、1例で0.485μg/mL(新生児/母親比:4.49%)でした1)
  • 9.6 本剤はPEG化抗マウスTNFαモノクローナル抗体のFab'フラグメントを用いたラット生殖発生毒性試験のトキシコキネティクス試験の結果から、乳汁移行は低いことが示唆されました。
    関節リウマチ又はクローン病等の授乳婦に本剤を投与し、投与前及び投与2~14日(4週間隔では28日)後に測定した母乳中濃度は定量下限(0.032μg/mL)未満~0.0758 μg/mLでした。乳児の平均母乳摂取量を150mL/kg/日と仮定すると、乳児の平均1日摂取量は0〜0.0104mg/kg/日、母親の投与量に対する乳児の摂取量の比は0.04~0.30%と推定されました2)
  • 9.7 小児等を対象とした臨床試験を実施しておらず、安全性は確立していないことから、設定しました。
  • 9.8 国内臨床試験では、高齢者(65歳以上)について十分検討されていません。一般に高齢者では、生理機能(免疫機能等)の低下に伴い、副作用が発現しやすくなることが考えられます。患者の状態を十分に観察し、慎重に投与してください。

1)Mariette X. et al.: Ann Rheum Dis. 77: 228-233, 2018(CIM-00650)
本論文の研究資金はUCB Pharmaから提供を受けたものである。

2)Clowse MEB. et al.: Ann Rheum Dis. 76: 1890-1896, 2017(CIM-00598)
本論文の研究資金はUCB Pharmaから提供を受けたものである。

その他の注意の必要な患者

ワクチン接種を検討している患者

本剤投与において、生ワクチンの接種に起因する感染症を発現したとの報告はありませんが、感染症発現のリスクを否定できないので、生ワクチンの接種は行わないでください。

他の生物製剤を使用している患者

本剤と他の生物製剤の併用について安全性及び有効性は確立していないので、併用は避けてください。また、海外で実施したプラセボを対照とした臨床試験において、抗TNF製剤とアバタセプト(遺伝子組換え)の併用療法を受けた患者では、併用による効果の増強は示されておらず、感染症及び重篤な感染症の発現率が抗TNF製剤のみによる治療を受けた患者での発現率と比べて高かったことから、本剤とアバタセプト(遺伝子組換え)の併用は行わないでください。

自己投与の適用

医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施した後、本剤投与による危険性と対処法について患者が理解し、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで自己投与(自己注射)することが可能です。また、使用済みの注射器(注射針一体型)を再使用しないように患者に注意を促し、安全な廃棄方法に関する指導を行ってください。