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CQ3-1 初回てんかん発作で薬物療法を開始すべきか

要約

初回の非誘発性発作では、以下の場合を除き原則として抗てんかん薬の治療は開始しない。初回発作でも神経学的異常、脳波異常、脳画像病変ないしはてんかんの家族歴がある場合は、再発率が高く治療開始を考慮する。
患者の社会的状況、希望を考慮して初回発作後から治療開始してもよい。高齢者では初回発作後の再発率が高いので、初回発作後からの治療を考慮する。
2回目の発作が出現した場合は、1年以内の発作出現率が高く、抗てんかん薬の加療開始が推奨される。

解説

初回非誘発性発作症例の5年以内での発作出現率は約35%であるが、2回目の発作後の1年以内の再発率は73%となる。
治療開始、特に長期的な方針においては、病態の説明・治療期間・薬物の副作用などを説明のうえ、患者の治療に関する自己決定を十分に尊重する。
若年者に比較して高齢者では初回発作後の再発率が高い(66~90%)ことから、初回発作後に治療を開始することが多い。
初回発作、再発1回目、再発5回目発作直後での加療開始の間で、その後2年間までは発作抑制率に軽度の差異はあるが、それ以降の長期的な差はない。525名のてんかん患者(平均29歳、発症年齢は平均26歳:27%が特発性てんかん、29%が症候性てんかん、45%が潜因性てんかん)の平均5年間の調査では、治療開始までの発作回数が20回以上の場合(185名)は37%の患者が1年以上の発作抑制期間に至らず、20回以下の患者群では29%であり有意差があった。また、発作非抑制者は、特発性てんかんより他の2群(症候性てんかん、潜因性てんかん)のほうが有意に多かった(26% vs. 40%)。

日本神経学会「てんかん診療ガイドライン」作成委員会 編:「てんかん診療ガイドライン 2018」P.25, 医学書院, 2018

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