Skip to main content

CQ3-9 抗てんかん薬の後発医薬品への切り替えに関して注意する点はなにか

要約

後発医薬品への切り替えに関して、発作が抑制されている患者では、服用中の薬剤を切り替えないことを推奨する。先発医薬品と後発医薬品、あるいは後発医薬品同士の切り替えに際しては、医療者および患者の同意が不可欠である。

解説

先発医薬品と後発医薬品の治療的同等性を検証した質の高いエビデンスはない。しかし、一部の患者で、先発医薬品と後発医薬品の切り替えに際し、発作再発、発作の悪化、副作用の出現が報告されている。

参考 後発医薬品への切り替え時の注意点

後発医薬品への切り替え時は、以下の点にご注意ください。

「抗てんかん薬の後発品の使用に関する日本てんかん学会の提言」
てんかん患者の抗てんかん薬治療においては、先発医薬品と後発医薬品、あるいは後発医薬品同士の切り替えに際して、医師および患者の同意が不可欠であるとともに、充分な情報提供が求められる。

上記の根拠(一部抜粋)

1 先発医薬品と後発医薬品の治療的同等性を検証した質の高いエビデンスはない。

2 しかし、一部の患者で、先発医薬品と後発医薬品の切り替えに際し、発作の悪化、副作用の出現が報告されている。

3 したがって、発作が抑制されている患者で、服用中の医薬品を切り替えるのは推奨されない。発作の再発は、大きな社会的・身体的・心理的影響を残し、医療経済的にも負担を増す。

4 治療の開始時、あるいは発作の抑制されていない患者では、供給の安定性、安全性を確認したうえで、患者の同意のもとに医師が後発医薬品を使用するのは差し支えない。

5 先発医薬品と後発医薬品、あるいは後発医薬品同士の切り替えに際しては、リスクの認識、不安の解除、治療への adherence を保つために、患者/介護者への充分な情報提供が求められる。

6 先発医薬品と後発医薬品、あるいは後発医薬品同士の切り替えに際しては、医師および患者の同意が不可欠である。

7 後発医薬品の有害事象報告および情報提供システムの構築が望まれる。

「診療録等の記載上の注意事項」より、処方箋の記載上の注意事項(一部抜粋)

「処方」欄について
投薬すべき医薬品名、分量、用法及び用量を記載し、余白がある場合には、斜線等により余白である旨を表示すること。

(1)医薬品名は、一般的名称に剤形及び含量を付加した記載(以下「一般名処方」という。)
又は薬価基準に記載されている名称による記載とすること。なお、可能な限り一般名処方を考慮することとし、一般名処方の場合には、会社名(屋号)を付加しないこと。
なお、薬価基準に記載されている名称を用いる場合、当該医薬品が、薬価基準上、2以上の規格単位がある場合には、当該規格単位を併せて記載すること。
また、保険医療機関と保険薬局との間で約束されたいわゆる約束処方による医薬品名の省略、記号等による記載は認められないものであること。

(5)処方医が処方箋に記載した医薬品の一部又はすべてについて後発医薬品への変更に差し支えがあると判断したときには、「備考」欄中の「保険医署名」欄に署名等を行うとともに、差し支えがあると判断した医薬品ごとに「変更不可」欄に「✓」又は「×」を記載し、患者及び処方箋に基づき調剤を行う保険薬局の保険薬剤師のいずれに対しても変更不可であることが明確に分かるように記載すること。
なお、一般名処方の趣旨からして、一般名処方に対して「変更不可」欄に「✓」又は「×」が記載されることはあり得ないものであること。

処方箋の一例
処方箋の一例

「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について(令和2年3月27日付厚生労働省保険局医療課長・厚生労働省保険局歯科医療管理官通知保医発0327第1号)
(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000613534.pdf)、
2022処方箋様式 様式第2号(東京都保険医協会)(https://www.hokeni.org/data-docs/2016122800082/file_contents/2022shohousen.pdf)より一部抜粋

日本神経学会「てんかん診療ガイドライン」作成委員会 編:「てんかん診療ガイドライン 2018」P.38, 医学書院, 2018

JP-N-DA-EPI-2200144