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CQ3-8 てんかん患者で注意すべき併用薬はなにか

要約

①吸収阻害薬(フェニトインに制酸薬、ガバペンチンに酸化マグネシウム)、てんかん発作閾値を低下する薬物など(表1)の併用時には、血中濃度の低下と、発作抑制不良に関して注意を要する。
②肝代謝酵素の誘導・抑制作用での血中濃度の相互作用に関して注意を要する(図1)。

解説

既存抗てんかん薬では、抗てんかん薬同士ならびに他剤との相互作用が大きく、図1に示すような複雑な関係があり、単剤療法が推奨される一因である。単剤でも自己酵素誘導はカルバマゼピンの特徴で使用後1か月程度からの血中濃度の低下、あるいは一時中断後の再開時の血中濃度上昇が懸念される。
ガバペンチン、レベチラセタム、トピラマート(200mg/日以下)は抗てんかん薬同士の相互作用は少ない。
表1に示すようなてんかん閾値を下げる薬物が関与している場合が少なくない。

表1:てんかん閾値を下げる薬物
  • ・アルコール・バルビタール酸・ベンゾジアゼピン系薬物の離脱時
  • ・抗うつ薬(イミプラミン、アミトリプチリン、軽度ながらSSRI)
  • ・抗精神病薬(クロルプロマジン、チオリダジン)
  • ・気管支拡張薬(アミノフィリン、テオフィリン)
  • ・抗菌薬(カルバペネム系抗菌薬、抗菌薬およびNSAIDとの併用)
  • ・局所麻酔薬(リドカイン)
  • ・鎮痛薬(フェンタニル、コカイン)
  • ・抗腫瘍薬(ビンクリスチン、メソトレキセート)
  • ・筋弛緩薬(バクロフェン)
  • ・抗ヒスタミン薬

(池田昭夫.機能性疾患,神経・運動器疾患.井村裕夫 編.「わかりやすい内科学 第3版」,東京,文光堂, 2008. P.826-837から改変引用)

図1:主な各種抗てんかん薬同士および他剤との相互作用
主な各種抗てんかん薬同士および他剤との相互作用

フェニトイン(PHT): phenytoin、フェノバルビタール(PB): phenobarbital、カルバマゼピン(CBZ): carbamazepine、ゾニサミド(ZNS) : zonisamide、エトスクシミド(ESM): ethosuximide、ラモトリギン(LTG): lamotrigine、バルプロ酸(VPA):valproate、ペランパネル(PER): perampanel

  • 注:すべての2者の薬物間の上下の位置関係は、血中濃度/効果の影響の結果を示し、上位は効果が増し、下位は低下することを意味する。

(佐藤岳史、池田昭夫、柴崎浩.その他の症候と治療:てんかん.橋本信夫 編.脳神経外科臨床指針.東京, 中外医学社, 2002. P.29.図1-12 から改変引用)

日本神経学会「てんかん診療ガイドライン」作成委員会 編: 「てんかん診療ガイドライン 2018」P.36-37, 医学書院, 2018

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